私たちは、自社ブランドを開発されるかたに向けた靴下の製造サービスを営んでおります。
本日は自社ブランドの立ち上げをする際の製造工場の見極め方、つきあい方について紹介して参ります。
私自身海外の工場と一緒に仕事をするようになって19年になりました。
多くの工場経営者との出会いに恵まれました。
私の経験上「商人」と「職人」二種類のタイプの経営者がいると考えます。
職人タイプの工場とつきあう際の傾向と対策
職人タイプの経営者は、商売よりも自らが納得できる製品をつくれるかどうかに重点を置く傾向があります。
自らが納得するまでとことんつきつめるので、サンプルの修正回数についても比較的寛容です。
ただし職人としてのプライドが高いため、わからないことがあれば教えを乞う感覚でつきあう必要があります。
私たちはオーダーの多くを職人タイプの工場へ発注しています。
新規参入に耐えうる競争力に優れた靴下を開発するには、細部までこだわる必要があるからです。
商人タイプの工場とつきあう際の傾向と対策
商人タイプの工場経営者はできる限り大きなオーダーを受注して利益を出すことに重点を置きます。
営業がメインで考えていますので問い合わせに対する回答も早いです。
利益が出るのであれば難易度が高い仕事にもチャレンジしますが、短期的な視点での回収を考える傾向があります。
例えば新商品の開発に取り組む際、サンプルの修正回数が増えると早めの方向転換を検討します。
修正回数がかさむほど費用がかかりますし、開発にかける時間が長くなる分回収も遅くなります。
私たちが商人タイプの工場とつきあう際、工場の力量80%程度で製造可能な製品を依頼するように心がけています。
工場に実績がある製品と同レベル程度の難易度であれば、先が見えるため妥協を持ちかけられることもありません。
あるお客様から言われたお言葉
「良いものを製造することが工場が成功するポイントだと考えています」
お客様との雑談でお伝えしたところ、お客様は「そうとは限らない。いや違うと思う」と否定されました。
当時はなぜ否定をされたかわからなかったのですが、あとからお客様のお言葉が正しかったということを身を持って体験しました。
私が長年靴下について教えを受けた恩人とも言える職人が経営する工場が閉鎖したのです。
コロナの影響で一気にオーダーが減少し資金がショートしやもなく閉鎖することになりました。
商人タイプの工場のように積極的に営業活動を行なっていたらこんなことにはなりませんでした。
一方商人タイプの工場も、営業と利益のみに比重を置きすぎると、レッドオーシャンの価格競争に巻き込まれやすいデメリットもあります。
難易度が高い仕事を受けて、自社のレベルを上げていかないと、価格や条件のみが選ばれる理由になってしまいます。
「商人」と「職人」水と油のように見えますが、両方のバランスが取れるように中長期的な視点を持って工場と付き合っていくのがベストなのかもしれません。