製造工場 靴下製作

陸王のこはぜ屋みたいな台湾靴下工場

投稿日:2019年4月10日 更新日:

2017年10月期の日曜劇場で放送された作家池井戸潤さん原作のドラマ「陸王」を見られたという方も多いのではないでしょうか。

僕が陸王を見て最も印象に残っているのが、足袋工場こはぜ屋を訪れた銀行員が、工場検品ではじかれた不良品を見て「これのどこが不良なの?」と驚くシーンです。

陸王のこはぜ屋さんのシーンを見ると台湾の靴下工場を思い出す理由とは?

劇中で足袋工場のこはぜ屋さんが出てくるたびに台湾の靴下工場を思い出します。

工場の雰囲気や規模感、経営者の気質など共通点が多いと感じさせるからなのかもしれません。

職人気質だからこその靴下へのこだわり

台湾工場の社長は、1982年に靴下工場を開業しました。靴下の編機一台を購入して、自らが機械を操作してサンプルを製作して客先に売り込むところからのスタートでした。

以来37年間自らが編機を操作して、様々な靴下を製造してきました。現在も夜中に機械の前に立って開発に没頭しています。

「履くためにあるのが靴下」社長の口癖です。履くことを第一に考え、見えない細部まで徹底的に探求をしながら靴下の製造に取り組んできました。

柄、色数などデザイン性を保ちつつ、履き心地がよく、長持ちする靴下を製造する技術力が台湾工場の強みです。

「余計なことに気を煩わせたくない」「靴下を作ることだけを考えていたい」

社長が靴下を奥深く探求し続ける理由は、靴下作りを愛してやまないからです。

靴下を作ることが好きでも、売ることも好きだとは限りません。

ビジネスなので開発をお金に繋げなければなりませんが、お金に繋げるための仕事をするのが煩わしいのです。

営業をする時間があれば、靴下を作っていたいというのが、社長の本心なのかもしれないと思うことがあります。

台湾靴下職人の人生訓とは?

台湾靴下工場の社長は、30数年前に靴下の編機を一台購入して、自ら靴下を製造するところから工場を始めた職人です。 8年前に社長と知り合って以来、靴下のことや、人生についても教わってきました。 目次1 も ...

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彼らの目線は、は靴下作るという一点にだけに向けられています。

優れた靴下を製造するための思想が工場全体に行き渡っており、工場そのものが社長が37年間かけて作った作品のように感じられます。

靴下の編機をゆっくり回す。効率より品質を優先する考え方

台湾靴下工場の編機を回す速度は、靴下の種類にもよりますが、中国工場の3/2〜半分程度に抑えています。

特に200nという網目の数が多い仕様ですと、柄が細かいため、細い糸一本で靴下を編み立てる必要があります。

細い糸一本ですと、靴下の下に入っているゴムの白い部分が、靴下の表面に出やすくなります。

この現象をプレーディング不良と呼びます。

100%回避することは不可能ですが、編機を回す速度を遅くすることによって最小限に抑えることが可能です。

下糸のゴムの色は、本体に合わせれば目だたくなるのですが、濃い色の場合、柄の色味に影響が出てきます。

編機をゆっくり回すと、当然のことながら時間がかかります。台湾工場はそれを編機の台数でカバーする形をとっています。

工場にとっての最優先事項は、効率ではなく、品質なのです。

小学校一クラスほどの工場規模

台湾靴下工場では、日本の小学校の一クラス分ほどの工員が仕事をしています。

台湾工場の検品ラインにも「不良品」と書かれた箱が設置されています。良品と不良品が混ざらないようにするためです。

箱の中を覗いて見ると、こはぜ屋さんばりに厳しい基準で検品されていることがよくわかります。

検品ラインで出た不良品の状況を、生産ラインに報告をし、次回の生産で不良箇所を改善します。

品質を向上させるための仕組みができているところに、職人気質の社長の考え方が見て取れます。

台湾靴下工場のおばちゃんに言われてうれしかったこと

僕が台湾工場と出会ったの2010年のことでした。

会社員をしているときに工場と知り合いました。

3週間ほど工場に滞在して、毎日おばちゃん達と一緒に生産ラインで検品をしたことがあります。

待った無しの納期で、土日も正月もなく来る日も来る日も検品をする日々でした。この時工場に助けてもらえなければ、どれだけ会社に迷惑をかけたかわかりません。

残業につく残業で、なんとか無事に乗り切ることができました。

僕が起業してから、特にここ数年は、休日に工場へ行き、社長と打ち合わせをして帰国することが多かったのですが、先日久しぶりに平日に工場に行きおばちゃん達の顔を見ることができました。

あいかわらず同じ顔ぶれでした。あるおばちゃんが僕に言いました。「あんたとつきあってもう10年目だね」

工員のおばちゃんが、僕が工場とつきあってきた年月を覚えていてくれたのは、たまらなく嬉しかったです。

弊社が台湾工場にお願いしている靴下も、おばちゃん達が、心をこめて一つ一つ梱包や検品をしてくれていたと思うと、見えないところで、工場皆んなで、僕を支えてくれていたことが、よくわかりました。

台湾靴下工場の悩みとは?

親子共々職人気質だから営業面がウィークポイント?

60代の前半になる、社長には一人息子がいます。現在彼が工場長を務めています。

息子も父親に似て、職人気質です。もしかしたら父親以上かもしれません。

職人気質におたく気質を加えたような「靴下マニア」です。以前僕が工場に滞在していたとき、深夜に生産ラインを見にいくと、

「うひひひ」嬉々として笑いながら、編機に糸をかけていました。

彼が作るキャラクター靴下は素晴らしいです。ある有名なキャラクターアミューズメントパークのバイヤー様からお褒め頂いたことがあるくらいです。

ただ親子共々靴下を作ることを最重視しているため、展示会への出展や自ら売り込みをすることがあまり好きではありません。

台湾で日本向けに靴下を製造している工場数社の中で、技術力や工場設備も一二を争うくらいなのに、あまり知られていません。

田舎にあるので?デザイナーがすぐにやめてしまう

靴下のデザインが入稿されたら、それを元に工場でドット絵を製作します。ドット絵のデザイナーが慢性的に不足しています。

畑の真ん中にあるような立地ですので、デザイナーのようにクリエィティブが求められる人材の場合、すぐに刺激を求めて都市部に行ってしまうようです。

 

弊社と台湾靴下工場との関係性とは?お互いに補いながら生き残り戦略を模索する

起業したばかりの頃は、台湾工場へのお手伝いの一貫で、工場の窓口として、大口のお客様の営業をしたりしてきました。

靴下工場との関係性について

弊社のオーダーについては、工場の製造ロットが1200足からでしたので、小ロット生産を謳う弊社にとってちょっと難しい面もありました。

今思うと、編機をゆっくり回して、効率より品質を最優先する工場にとって、小ロット生産のハードルが高いというのも、理解できます。

ただ1200足ですと、どうしても台湾工場で生産できる顧客が限られてしまいました。

なぜ500足で製造ができるようになったか

2018年から500足〜製造してもらえることになり、台湾工場に発注する機会が増えました。

最も大きかったのは、島精機製作所さんのデザインシステム「SDS-ONE APEX3」の導入でした。

バーチャルサンプルを製作することにより、サンプル製作回数を圧縮し、小ロットでも工場に非効率を感じさせないようにしました。

さらに靴下のデザインのもとになるドット絵を日本国内で製作していただく先を探した結果、アニメなど、クリエィティブなドット絵を製作する、製作会社さまとお付き合い頂けるようになりました。

これにより工場の悩みの一つである、ドット絵デザイナーが行う業務を自前でできるようになりました。

 

まとめ

工場が不得意な部分を弊社がカバーすることにより、こはぜ屋さんのような台湾靴下工場をうまく活用する体制ができつつあります。

詳しくは弊社ホームページもご参照下さいませ。

 

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